「小野川の自然文化/下小竹精米水車」  

地域で紹介したい自然・歴史・文化・工業・産業など
・小野川の自然文化、ホタル祭りや精米水車
紹介・解説できる人・団体(ボランティア学芸員)
 
利用・交流できる施設
・交流拠点/小野民芸村「ことといの里」 日田市源栄町4830−3 TEL.0973-29-200
お問い合わせ先
 

水と共生するくらしと文化
1.壮年会の活動
・地区壮年会連絡会会議 5月初旬
・岳滅鬼山開き 5月11日
       源栄町壮年会・源成会共催
・蛍まつり 6月14〜15日
       鈴連町壮年会(婦人会協賛)
・釣りバカ大会 6月29日
       三河町壮年会
・夫婦岩観音まつり 殿町壮年会
・どんど焼き 三河町壮年会(婦人会共催)
※鈴連町壮年会……H5 環境庁より
 「水環境賞」を受賞。

2.婦人会活動
小野地区の自然と清流を守る運動として、
石鹸 洗剤への切替えを推進している。
・年3〜4回の共同購入

○小野婦人会では、“美しい故郷の自然をみんなで守ろう”と合成洗剤から石鹸洗剤への切り替え運動を勧めています。
○普段何気なく使っている、洗濯用の合成洗剤やシャンプー、台所用の合成洗剤などの生活排水は自然の水では分解されにくく、川や海を汚染し環境破壊を招いています。
○この小野地区に暮らす一人ひとりがお互いに協力し、自分たちの手で水と緑に囲まれた素晴らしい故郷の自然をいつまでも子どもや孫たちに残していきましょう。


 下小竹精米水車と暮らして
筑後川上流、日田市に支流花月川が流れている。そのまた支流小野川岸にこの精米製粉水車がある。焼き物の里として知られる小鹿田にいく県道脇。最近「市指定民族無形文化財」の看板もあるから、気をつけていけばすぐ分かる。
 村人からカラウス(唐臼)の愛称で呼ばれているこの水車はすべて木製、釘一本使っていない。最近よくみかける観光用に作られたものは、どこかに金属が使われており、昔からの原形をとどめ今も動いているのは「平岡昭利著・九州水車風土記」などで調べると精米製粉用水車としては九州では唯一のものではないかと思われる。
 材料は耐水性の強い松、摩滅に秀でた樫・栗の木が使われ、金属機械以前の姿を忠実に伝えており、確かな建築時代は特定できないが明治三一年の水車規則の記録が残っているから、すでにこの時代からあったことは確認できる。ただこの文書はこの時建築したとの記述はなくそれ以前からあったかも知れない。仮にこの年建築されたとしても既に百年元気に働き続けたことになる。
 元気といってもかなり古く維持費もいる、精米するのに時間もかかり町の機械で精米する方がよほど楽だが、今まで使用しているのはゆっくり時間をかけて精米するため胚芽が落ちにくく栄養素が残り、熱も来ないため、カラウスの米が最高においしいからである。
 製作当初から一一戸の共同で使用しているが、農家でも今は昔ほど米の消費が少なくなったうえ、のんびり時間を掛けて精米する暇もなく稼働日数が極端に少なくなってきたのは残念である。
 この古い水車を使っていると、昔の人の自然の水との付き合い方、ひいては環境などとのかかわりが見えて考えさせられる事が多い。
 水車は約九〇メートル上流から導水する。その昔の水路は実に粗雑で稚拙なもの、導水路の三分の一は自然石を乱雑に並べ、漏水も激しかった。ところが川岸の護岸工事の時立派な水路に作り直した途端おかしくなった。それ迄漏水が多いと思った水路は洪水の時、余分の水を排除し早く回りすぎる水車の回転を回避する昔の人の知恵であったのである。
 川からその導水路に水を分水するのは川の屈曲部を利用しているが、これも小さな自然石がせき止めに置かれただけの漏水の多いしろもの。ところが近年壊れた県道修理をこのせきどめ石を除去して行って修理しなければならなくなった。修理後、施工業者が復元してくれたが一、二度洪水にあったらすぐ流失して水が少ししか来ない。
 このようなことを見るにつけ、つくづく昔の人の自然に逆らわない知恵に感嘆することが多い。渇水で水量が少なければ水車がゆっくり回転して精米時間が長く、増水すれば早く回転して短いだけのこと。決して自然に逆らわない思考だから木製の水車は今まで堅牢であったのかもしれない。
 小野川の流れは美しい。上流の小鹿田の水車の音もこの精米水車の音もやさしい。

              野田  巳(小野地区振興協議会長)

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