筑後川水問題研究会 代表 蔦川正義

地域で紹介したい自然・歴史・文化・工業・産業など
・筑後川流域、有明海の水環境全般
紹介・解説できる人・団体(ボランティア学芸員)
・会員/約100名
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「筑後川水問題研究会」の活動内容

 この会は通称「築水研」と略して呼ばれていますが、発足してから今年で二十二年になる水をテーマにした会としては、全国的にも古い実績のある会と自我自賛しています。とはいえ、どのようないきさつで発足した会かを、振り返ってみます。時期的には、一九七七年から一九七八年にかけての北部九州の大渇水の年であり、長良川河口堰裁判にさきがけて行われた「筑後大堰裁判」提訴の年に設立されています。一九七七年八月に「筑後川水問題に関するプレ・シンポジウム」が開催されました。これをきっかけに、水問題についての広範な興味と関心が大きくなり、改めて本格的なシンポジウムの開催の声が高くなり、六分科会からなる「第一回筑後川水問題シンポジウム」が一九七八年四月に二日間開催されました。このシンポジウムには、地元流域はもちろん、九州各県、京都、岐阜、金沢、東京などからも参加があり延べ七百人以上と文字どおり全国的な催しとなりました。
 このシンポジウムに協力した研究集団である「筑後川水問題に関する研究者会議」を再編強化し結成されたのが「筑後川水問題研究会」です。研究会は独自に科学的、実証的に水問題の解決に取り組むとともに、民主的で民主的で総合的な水政策のあり方を探求することを掲げています。またこの研究会の性格を示すものとして「独自性」と「趣味と実益の統一」という表現がされています。「趣味と実益をかねて」とは研究者の本業である研究活動と趣味的興味の部分も含めて問題を扱い「あせらず、結論をいそがずじっくりと、楽しみながらやっていこう」ということと解釈しました。構成メンバーは大学の研究者から、農民、漁民、議員、自治体職員、教員、ジャーナリスト、家庭の主婦、サラリーマンやそのOB、酒造会社社員、自然保護活動家や住民運動家と多様です。
 活動の主なものは大規模なシンポジウムからミニシンポ、環境水講座、から例年恒年の楽しい企画の有明海での潮干狩や矢部川河川敷船小屋での天然アユの食べ放題と酒蔵訪問。ここ数年取り上げた毎月の定例研究会の例では、水の安全性からの水の経済学、歴史的面からの水など幅広い水問題、下水道問題、環境問題、環境開発問題、ゴミ問題、農業問題や有機農業、海外レポート、環境と関わる法律問題、諌早干拓問題のような公共工事の問題を検討するなど多様な内容を扱ってきました。
 これからの目標と課題としては、自治体の「政策、計画の総点検」を行い問題提起し、政策の見直しや代替え案の提示や「市民向けの問題提起」など市民や行政機関に対して積極的提言を目指したいと思います。またこれまでの成果を本にして出版をと考えておりますので、会員に加わって下さい。
                                築水研事務局長 河内俊英

筑後川水問題に関する総合的研究課題

(1) 筑後川をめぐる水問題の歴史的研究
1. 筑後川の氾濫と治水対策の歴史
2. 筑後川をめぐる利水史・利水慣行史
3. 筑後川流域の民話・民俗学の研究
4. 筑後川の景観として果たしている役割
5. 都市文明と水問題
6. 流域社会の発展と筑後川との歴史的関連の研究
(2) 筑後川水系の自然と環境に関する研究
1. 筑後川水系の気象学的研究
2. 上流における林相変化と現状の問題点
3. 各流域 (上・中・下流域) の生物相変化と現状の問題点・生物をとりまく環境 (水温、 流速、 河床状態などを含む)
4. 日本住血吸虫の研究
5. 筑後川と有明海の関連
6. 筑後川総合開発の自然と環境におよぼす影響予測研究
(3) 筑後川水系の水質変移に関する研究
1. 今昔、 筑後川の水質変化
2. 畜産・産業・生活排水と水質汚濁の現状
3. 汚濁支川が本川におよぼす影響の研究
4. 筑後大堰建設にともなう二次汚染の研究
5. 水質に関する環境アセスメント
(4) 筑後川流域の住民生活に関する研究
1. 上流ダム建設による住民生活の変化
2. 筑後川と住民生活の現状表流水利用 (農業用水利用などを除く) 河川敷利用、 レクリエーション
3. 筑後川流域の生活用水・上水道の現状と問題点
4. 流域下水道の展開と問題点
5. 筑後川総合開発の住民生活におよぼす影響予測研究
(5) 筑後川流域の産業と経済構造に関する研究
1. 上流域における産業構造
2. 農業・漁業と筑後川および筑後川開発の関連
3. 流域における工業開発と地域経済構造の変化
4. 電源開発と筑後川
5. 流域における産業・経済の展開方向
筑後川における治水・利水の現況と問題点
1. 水源かん養の研究
2. 洪水量および開発水量の研究
3. ダム開発の可能性の研究
4. 治水上の問題点……構造物、 ダム管理、 堤防などを含む
5. 防災システムの研究
6. 各種の利水現況の総括
水資源開発と筑後川総合開発の基本的方向に関する研究
1. 「筑後川総合開発計画」 批判
2. 筑後川総合開発にあたっての基本的枠組の検討―上記諸研究―
3. 民主的で総合的な水問題解決のマスタープラン
4. 筑後川総合開発を住民の手で民主的にすすめるシステムの研究

提訴1周年を前に大堰訴訟支援の
会の発表総会が開かれ会長に鮫島
国三氏
(久留米大学名誉教授)を選出
(1979.8.1)
筑後大堰は完成したが農業、漁業
被害、水質、日本住血吸虫病問題、
域外取水による水量問題など未解
決をかかえますます重大さを増す筑
後川水問題
有明海ノリ漁場
大堰直下流量の減少により、重大な
被害が予想され、農業用水不足とと
もに流域農・漁業の不安はたえない。
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